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エルピーダ70nmプロセスDRAM
70nmプロセスの量産で先行 RETURN

 300mm生産体制の増強と合せて供給能力を一気に拡大

70nm

「DRAMのテクノロジーリーダー」として知られるエルピーダメモリは,業界に先駆けて70nmプロセス技術を使ったDDR2 SDRAMの量産を開始した。高速化および低電力化などデバイスのパフォーマンスと生産性の両面で利点をもたらす微細化で先行することで,DDR2 SDRAMを手始めに,2008年以降に需要が急増するDDR3 SDRAMの事業を有利に展開する考えだ。これによってパソコン(PC)およびサーバ向けDRAM市場における同社の地位を一気に高める。


 エルピーダメモリが70nmプロセスを使った1Gビットおよび512MビットのDDR2 SDRAMの量産を始めたことを明らかにしたのは2006年12月のことだ。競合他社の製品が90nm〜80nmのプロセス技術を採用している中で,いち早く70nmプロセス技術を導入した量産を立ち上げた。しかも,それまで主力製品には90nmプロセスを採用していた同社が,80nmプロセスを飛び越して70nmプロセスを戦略製品の量産に導入したことから,業界でも注目を集めた。

 同社が微細化を加速した大きな理由の一つは,市場の要求に合わせた製品を,いち早く提供するためだ。例えばマイクロプロセッサの大手は,ハイエンドPC向けプロセッサでDRAMとプロセッサ間のデータ転送速度を従来の667Mビット/秒から800Mビット/秒あるいは1Gビット/秒へと引き上げようとしている。「プロセスを現状の90nmから70nmにして回路の高速化を図れば,DDR2の仕様のままでデータ転送速度を現状の667Mビット/秒(最高800Mビット/秒)から1Gビット/秒に高めることが可能になります」(エルピーダメモリ執行役員サーバ&PC Divisionの高橋康氏)( 図2)。さらに昨年末にWindows Vistaが登場したことによってPCは,より多くのメインメモリを搭載するようになる。「特にメモリを追加するスペースがなかなか確保できないノート型PCでは,小型で大容量のDRAMが必要です。しかも,低電力化も図る必要があります」(高橋氏)。微細化を進めれば,大容量化と低電力化を同時に進めることができる( 図3)。

高橋 康氏

高橋 康氏
エルピーダメモリ株式会社
執行役員 サーバ&PC Division

 こうした市場ニーズに対応できる製品を,他社に先駆けて提供することで,同社はPC/サーバ向けDRAM市場におけるシェアを一気に拡げる考えだ。「エルピーダメモリの大きな事業の柱は,モバイル用やデジタル家電などに向けた高付加価値の『プレミアDRAM』です。この一方で大きな市場であるPC/サーバ向けのDRAMでは,市場シェアを伸ばせる余地がかなりあります。実際,サーバ向けDRAMの市場では15%〜20%のシェアを獲得していますが,大手PCメーカー向けDRAMでは,まだ数%に過ぎません。微細化で先行したのを契機に,サーバ向けDRAMのシェア30%,大手PCメーカー向けDRAMのシェア15%をできるだけ早く確保して,DRAM市場におけるトップ・メーカーの座を狙います」(高橋氏)。

 70nmプロセスでDDR3市場を開拓

 同社は,いち早く70nmプロセスを立ち上げたことで,2007年以降に需要が立ち上がるDDR3 SDRAMの市場でも有利に事業展開を図り,PC/サーバ用DRAM市場におけるシェア拡大に勢いを付ける考えだ。DDR3 SDRAMは,1Gビット/秒〜1.6Gビット/秒と,DDR2 SDRAMの533Mビット/秒〜800Mビット/秒をはるかに上回るデータ・アクセス速度を備えている。米インテル社は,2007年第2四半期には,DDR3 SDRAMに対応したマイクロプロセッサ用チップセットを市場に投入する見込みだ。

 エルピーダメモリは,PC/サーバ用DRAM市場全体に占めるDDR3 SDRAMの割合は,2007年は1%〜2%に過ぎないが,2008年には約20%に,2009年には,約50%以上を占めるようになると見ている。「微細化で先行したことは,DDR3で必要な高速回路を実現するうえで有利です。すでに90nmプロセスを使ったDDR3 SDRAMのサンプルをインテル社に提供し,技術の評価を進めているところです。ここで蓄積したノウハウと70nmプロセスを駆使して,市場の要求に応じたDDR3 SDRAMをタイムリに市場に提供します」(高橋氏)。

写真:1Gビット(×8品と×16品) DDR2 SDRAMの パッケージ 写真:70nmプロセスを使った512MビットDDR2 SDRAMの チップ写真
(a) 1Gビット(×8品と×16品) DDR2 SDRAMのパッケージ
(b) 70nmプロセスを使った512MビットDDR2 SDRAMのチップ写真
図1業界に先駆けて量産に70nmプロセスを導入

 「70nm」と「300mm」で生産増強

 PC/サーバ用DRAM市場における地位向上を狙う同社は,生産能力の増強も図る。「これまで,トップシェアを狙うための生産体制が必ずしも整っていませんでした。300mmウェハ対応生産ラインの拡充と70nmプロセスの導入によって,生産能力を一気に増やします」(高橋氏)。これに加えて,同社が台湾Powerchip Semiconductor Corp.(PSC)と設立したジョイントベンチャでDRAM生産会社のRexchip Electronics Corporationの量産ラインが2007年第3四半期に稼働をはじめる。300mmウェハと70nmプロセスを導入する同社ラインでは,PC向けDRAMを中心に生産し,生産規模は2007年度末に3万枚以上/月を計画している。この半分をエルピーダメモリが引き取る。さらにPSCへの生産委託の拡大も予定している。これらを合わせると,エルピーダメモリのPC/サーバ向けDRAMの生産規模は,2007年度末に300mmウェハで10万枚規模に達すると考えている。

 「例えば70nmプロセスを使って1枚のウェハから,約1000個の512MビットDRAMを作れるとします。仮に10万枚/月の生産能力を確立すれば,1億個/月の512MビットDRAMを製造できるわけです」(高橋氏)。一般に毎月世界で生産されているPC用DRAMは,5億個〜6億個と言われている。つまり,これを実現した場合,2007年度末には,この15%〜20%を供給できる体制が同社に整うことになる。

 現行プロセスに70nmプロセス技術を投入

 今後の事業展開のカギを握る70nmプロセスを,同社が速やかに量産に導入できた大きな理由の一つは,量産現場を活用した効率的な技術開発体制にある。同社の70nmプロセスには,低電圧対応のデバイス技術や高速配線技術等が数多く採用されている。これらの技術は,同社の研究開発を担当するTechnology & Development Officeが開発する。同部門では開発成果を迅速に量産展開できるように生産ラインを使って先行技術を開発している。

 さらに研究開発部門で確立したプロセス技術を、製品カテゴリ別に分かれた各事業部の技術部門が量産工場と一体になって展開する。既存の量産プロセスに個々の新しい技術を積極的に取り入れて検証することで,各技術の量産に必要なノウハウや実績を早い時期に蓄積している。

 「70nmプロセスで取り入れた新しいプロセス技術のほとんどは,既存の90nmプロセス製品に取り入れて実績を積みました。70nmプロセス技術は,90nmプロセスで実績を築いた新技術の集大成と言えます」(高橋氏)。  70nmプロセスを使った量産の立ち上げを契機にDRAM市場のトップを狙うエルピーダメモリの動きが一段と活発になってきた。今後の同社の動きから目が離せない。

図:70nmプロセスで高速動作を実現(1GビットDDR2 SDRAMの例)
図270nmプロセスで高速動作を実現(1GビットDDR2 SDRAMの例)
図:70nmプロセスで消費電流を低減(バースト時)
図370nmプロセスで消費電流を低減(バースト時)
携帯電話 PCなど情報処理機器 70nmプロセスの量産で先行
近年の携帯電話は小型・軽量かつ高機能な端末の開発競争が激化しております。 エルピーダの70nmプロセスDRAMは低電圧1.8VでDDR2-1066の高速動作が可能です。 PC/サーバ用DRAM市場で巻き返し、300nm生産体制の増強と合せて供給能力を一気に拡大
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