2006年9月13日
国立大学法人広島大学
エルピーダメモリ株式会社
文科省「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」
広島大学とエルピーダの共同研究が採択される
この度、文部科学省科学技術振興調整費提案構想「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」に対し、国立大学法人広島大学(広島県東広島市、学長:牟田泰三 以下、広島大学)とエルピーダメモリ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 兼CEO:坂本幸雄 以下、エルピーダメモリ)の両者で「半導体・バイオ融合集積化技術の構築」事業を共同提案し、約5倍の競争率の下、採択されました。
本文部科学省の構想は、イノベーションの創出を可能とし、次世代を担う研究者・技術者を育成する機能を備えたシステムを実現することを通じ、10〜15年後に、技術開発ならびに新産業の創出など、大きな社会的・経済的なインパクトをもたらす可能性がある先端融合領域において、世界的な研究拠点を形成するため、実用化を見据えた基礎的段階から、産学が協働して研究開発を推進することを目的としています。
この構想に対し、広島大学とエルピーダメモリは「半導体・バイオ融合集積化技術の構築」事業を共同で提案し、46件中9件という競争を勝ち抜き、イノベーション創出拠点として採択され、今年度より科学技術振興調整費という形で文部科学省の支援を受けることとなりました。
広島大学では本事業の研究拠点として、2007年に融合領域研究・教育組織を設立し、研究に必要な設備の整備とチャレンジ精神のある研究者の内外からの採用を行い、研究テーマを開拓・推進します。さらに、エルピーダメモリと一体となって、超大容量メモリや高感度バイオセンサー実現のための技術を、新原理・新材料から研究するとともに、産学人材交流、産学一体となった融合領域イノベーションを推進する研究者や社会人中核人材育成も進めます。
また、エルピーダメモリは、広島大学での研究に対し、エルピーダメモリからの研究者の派遣、広島エルピーダメモリ内のR&D用先端ラインの共同使用などにより基礎研究から実証の段階まで幅広く協力していきます。
エルピーダメモリは、本課題研究から得られた成果により、当社が世界一のメモリ企業へと近づくことを期待しています。
本事業がもたらすイノベーションは安全、安心、健康な社会を実現することであり、同時に世界をリードする新産業分野を創出することをねらいとしています。本事業が10〜15年後に起こすイノベーションの代表例としては、バイオセンサーとメモリに無線通信も搭載した「飲むバイオセンサー」の実現や、テラビット級超大容量メモリ技術開発をあげることができます。前者は病気の早期診断、腸内細菌やコレステロール診断を、いつでも何処でも可能にし、また、後者は将来のデジタル情報システム、ロボット、自動車にも革新をもたらすものです。
なお、この「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」における事業期間は原則10年、1拠点あたりに支給される科学技術振興調整費は、年間5〜10億円(当初の3年間は、年間2〜5億円)となっています。
以下に、本事業により創出するイノベーションおよびそれに対する取組みについて説明します。
― 「半導体・バイオ融合集積化技術の構築」事業により創出するイノベーションについて
本事業は、10〜15年後に以下のようなイノベーションをねらったものとなっている。
- 医療診断システムであり、バイオセンサーとブレインチップで、飲むバイオセンサーを実現し、情報を無線で収集して、病気の早期診断、腸内細菌、コレステロール診断が、誰でも何処でもできるようにする。
- 環境情報システムであり、植物にナノサイズのセンサーを埋め込むことにより環境有害物質の検出が自然な形態でできるようになるため、安全な環境を実現する。
- 大容量メモリやブレインによってテラビット情報システムを実現。人間以上の性能を持ったブレインはあらゆる分野、特に人間と共存するロボットや自動車の実現に有効となる。
― 「半導体・バイオ融合集積化技術の構築」事業への取組みについて
広島大学では、バイオ技術を精力的に研究開発しており、世界ではじめてアスベストに結合する蛋白質、新しいアレルゲンなどを発見し、その有用性を検証した。 一方、シリコン半導体技術においてはナノメータの超微細デバイスの実現に貢献。ナノワイヤートランジスタを大学内のクリーンルームで試作し、室温で電子1個レベルでの論理動作を確認した。また、シリコン量子ドットの配列構造の試作に成功して、高感度な光センサーに使える見通しも得ている。
このようなバイオ技術と半導体技術を融合するには、有機生命分子と無機エレクトロニクスの世界を結びつける新技術が必要となる。この目的で、広島大学ではシリコンに結合するペプチドを発見した。これは、活性タンパク質をシリコンナノデバイス上に形成できる画期的な万能接着剤である。広島大学ではこれをシリコンバイオ法と名付けた。これを用いて、多項目のバイオ分子を検出できる高感度のバイオセンサー及びそれを用いた診断システムを実現する。
また、将来のデジタル情報システムの高性能化に必要不可欠な大容量メモリは、現在ギガビット世代に入っているが、一方でデバイスの微細化による記憶容量拡大の限界も懸念されている。この懸念に対し本事業では、大容量・高速・不揮発という理想的なメモリを実現するためのキーとなる高誘電率キャパシタ材料、新しい記憶原理、有機材料を含めた探索を行う。さらに、これらの新材料と立体構造を用いて、1テラビットの超大容量メモリを実現する技術を開発する。さらにメモリの大容量化とともに重要な高機能化においては、情報を読み出しやすいように記憶することや脳のように三次元構造で情報を転送する技術がキーとなる。これらは広島大学21世紀COEの成果である無線インタコネクト技術を発展させる。
これらにより、バイオセンサー・大容量メモリ、無線通信機能を持った三次元バイオ・ブレインの実現をねらう。
以上
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